愛されている実感とは
愛されている実感とは、
「自分は誰かに必要とされているんだ」
「自分はここにいいていいんだ」
と思える、ゆるぎない自信のようなものを言います。
この感覚・実感は、子どもが本能的に欲しているもので、子どもの心の土台を作っていく、とてつもなく大切な感覚になります。
では、なぜ、子どもは愛されている実感を欲しているのか。
私たち人間は、この世に生まれ落ちた後、自分一人で餌(ご飯)を得ることもできなければ、一人で体温調節を上手にすることもできません。敵から身を守る術も持ち合わせていません。
私たちは、必ず誰かにお世話をしてもらい、守ってもらわなければ生きていけないのです。
そして、この身をお世話をしてもらい、この命を守ってもらうためには、誰かに自分を愛してもらう必要があります。
「ここに生きていて欲しい」と、誰かに想ってもらう必要があります。
私たちは、「愛してもらわなければ生きていけない」ことを本能で知っています。
私たちにとって、特に子どもにとって、「愛されること」は「生きること」に直結しているのです。
愛されることは、自分がここにいていいと実感できる感覚であり、ここに生きていていいと思える自信となります。
愛されることは、生きることであり
生きることは、愛されることです。
これが、すべてのスタートです。
子どもたちが、ものすごいエネルギーを使って親や大人にぶつかってくることがあるかと思います。
それこそ、親や大人が手こずったり、感情を揺さぶられまくって、お手上げ状態になるくらいの、本当にものすごいエネルギーで。
それは、子どもの心の中が、寂しい時、苦しい時、辛い時、分かってもらいたい時、嫉妬した時、自分は一人の人間として尊重され愛されているのかを確認したくなる時、そしてそれを親や大人が見ないふりして、時に無意識に押さえ込もうとした先に起こります。
なぜなら、子どもたちにとって「自分がここにいていいのかどうか」「自分ってちゃんと愛されてる?」という不安をその小さな心に抱え過ぎてしまうことは、「自分はここに生きていていいのかどうか」が不安になるくらいに重大で深刻で恐怖を感じる問題だからです。
だから、子どもたちは「自分はちゃんと愛してもらえている!」という実感が欲しくて、「自分は1人の人間として、ここに生きている意味があるんだ!」という安心感が欲しくて、様々な形でサインを送り続けているのです。
このように、子どもの心の土台となる「愛されている実感」を子どもを観察したりする際の子育ての指針にしていただくと、子どもの行動から子どもが何を訴えようとしているのかが浮き上がって見えるようになります。
また、子どもが欲している関わり方がなんなのか、ということも、子どもが必ず教えてくれていますので、その子が安心して満たされる関わり方を選んでいくことができます。
すると、親子の間の問題や、親と子どもの苦しさというものを、最小限にすることができるのです。
難しいことは何もありません。
ただ、目の前の子どもの心の土台となる「愛されている実感」が、今どんな状態なのかということを、子どもの様子から観察し、もし足りないものを訴えている場合にはそれを補ってあげるコミュニケーションを意識していけばいいのです。
これは、子どもの乳幼児期に必要な考え方かというと、年齢は全く関係なく、子どもが1歳だろうと、思春期になっても、何歳になっても必要な向き合い方になります。
つまり、「子育て」というものを、この「愛されている実感」という子どもの心を支える揺るぎない土台に目を向けていただくことで、
子どもが何歳であっても、親は世の中を流れていく多くの情報に振り回されることなく、目の前の子どもの様子から目の前のその子に最適な関わり方を見出すことができるようになります。
また、子どもも「自分は一人の人間として愛されている、尊重されている、大切に想われている」という実感がその心に根付くことができれば、ありのままの自分を子どもが自分自身で肯定できるようになっていきます。
愛されている実感というものが、子どもの今とこれからの人生においていかに重要なものであるのか。
愛されている実感を軸に子育てというものを眺めてみると、子どもに必要な関わり方がいかにシンプルなものなのか。
そして、子どもが心から欲しているもの(愛されている実感)を子どもに注ぐことで、親も子どももいかに楽に、楽しく、お互いに心地よく、幸せに過ごすことができるのか。
ということを、子どもと関わる多くの方に知っていただけたらと思っています。