おーちゃんはどちらかというと気持ちの切り替えが苦手な子でした。
一度気持ちが折れるとこころの回復に時間がかかったり、予定と違うことが起こると「そんなの聞いてない!」と怒って首が前に90度曲がったり。
そんなおーちゃんに対して大切にしていたことは、
・事前にこれからする予定をしっかり説明すること
でした。
ちなみに私の場合はおーちゃんだけでなくゆうちゃんにもトウくんにも同じように気をつけていました。
だってもし自分だったら。。。何も聞かされずに「はい行くから準備して!」と言われても「なんで?」「どこに行くの?」と納得できないし、次の行動に気持ちが向きにくいなと思うからです。
そして私は子どもに対して上の立場ではなく、人間同士1対1の真摯な関係でいたかったので、なぜ出かけるのか、どこに行くのか、そこで何をしたいのかをきちんと説明して、(年齢が小さい時に「お買い物一緒に行こう!」と誘っても愚図られた時は「バス探しに行こう!」とうまく気持ちが切り替えられるように。うまくごまかしながら。でも前向きに)子どもたちが納得して自分から動いてもらえるように意識して声をかけていました。
そしてこれはおーちゃんが行き渋りしていた頃の話。
まだ気持ちが学校から遠のいている初めのうちは、朝見ていた番組がキリの悪いところで「出発しよう」と声をかけると気持ちの切り替えが上手くできずに機嫌が悪くなったりしたので、
おーちゃんは他の子よりも気持ちの切り替えに少し時間がかかる所があることを念頭に置いて
急に「もう時間だよ〜」と声をかけるのではなく
「今日は8時50分になったら準備始めようね。時計の針がここにきたらね」
と前もって終了時間を一緒に確認し
その後も15分前や、10分前、5分前にも
「おーちゃん、あと何分だよ〜」
と、おーちゃんの意識が『楽しいワールド』からゆっくり現実に着地できるように声をかけたりしました。
イメージで言うと、テレビやゲーム、youtubeなど楽しい世界にいる子どもって
急に「はい終わり!」と言われると
その楽しい世界から、崖下から急に突き落とされるような感覚になりがちです。
「え?!聞いてないよ!!」って。
だから落ちたくなくて抵抗したくなったり、気持ちの切り替えがうまくいかなかったりする。
でも、あらかじめ
「あそこに着地するよ。
少しづつ降りていくから大丈夫だよ。」というようなイメージで
事前に行動を起こしてほしい時間をわかりやすく伝えたり(着地地点を示す)
あと15分だよ。あと10分だよ。と行動を起こしてほしい時間(着地地点)まで
声かけのスロープを作ってあげてゆっくり段階的に降りられるように声をかけてあげると
子どもの気持ちはゆっくりゆっくり切り替えができ、落差に驚くこともなく落ち着いた精神状態で着地地点にたどり着くことができます。
落ち着いていられるから、次への行動への移行もスムーズだし、自分から動き出すことができるのです。
このスロープをイメージした声かけは、子どもたちが小さな頃から続けてきたことですが
効果は 特に気持ちの切り替えが苦手だったおーちゃんだけでなく、ゆうちゃんやトウくんにもバッチリありました♡
行動の切り替えがしやすいのでしょうね。
こんな感じで、気持ちの切り替えが苦手な子・準備に時間がかかる子・今熱中していることから次の行動に移行しにくい子などには
急に「はい、時間だよ!」と、急にどこでもドアを開けて楽しいワールドから切り離そうとするのではなく
先の行動を本人も想像しやすいようにあらかじめ説明をしたり、
本人が気持ちの切り替えがしやすいよう、そして安心して次の行動に移れるようにスロープ(声かけ)を是非作ってあげてください♡
スロープがあるだけで、子どもの反応って変わりますよ♡
気持ちの切り替えが苦手だった8歳までのおーちゃん。
9歳になった今、おーちゃんは本当に、驚くくらいに様々なことが落ち着き
心がプレパラートみたいに割れまくることも
気持ちの切り替えができずに負の感情を必要以上に引きずってしまうことも
思い通りにならないことにすぐ怒り出すことも
本当に全くと言っていいほど見られなくなりました。
自信がつき、はつらつとした様子で
生まれた時と変わらない ふにゃっとしたおーちゃんスマイルを
毎日振りまいてくれています♡
あの日々があったから 今のおーちゃんがいるのだと感じます。
繊細で、優しいところは昔と変わらず今もおーちゃんの中にあるし
繊細が故に気持ちの切り替えが苦手だったり、自分の激しく揺れ動く感情におーちゃん自信が付いていけていないのだろうなと感じることもたくさんあったけれど
でも、おーちゃんを「変えなきゃ」なんてこれっぽっちも思いませんでした。
だって、それがおーちゃんだったから。
そのおーちゃんが最高におーちゃんらしすぎて愛しかったから。
でも、今、毎日穏やかで落ち着いた様子のおーちゃんを見ていて感じるのは
おーちゃんは「変わった」のではなく「成長した」のだなということ。
そう感じれば感じるほど
「泣かないようにさせよう」「すぐに落ち込むのをやめさせよう」と
おーちゃんを外側から「変えよう」としなくてよかったということ。
もし、ありのままの姿を「変えよう」とアプローチしていたら
きっと、今、自分の力で成長し、大好きな恐竜に詳しい自分のことを好きだと笑うおーちゃんには会えなかったと思うから。